オーストラリアで看護師を目指すには、2〜3年間の看護学士課程(Bachelor of Nursing)を修了する必要があります。日本とは異なる教育システムや実習スタイルに戸惑うこともありますが、その分、チーム医療の実践力や柔軟な働き方を学ぶことができます。
「授業の内容は?」「日本と実習の違いは?」「働きながら学べる?」そんな疑問を持つ方のために、オーストラリアの看護大学のリアルな学生生活を詳しくご紹介します!
大学の授業内容
オーストラリアの看護大学では、座学と実習がバランスよく組み込まれています。主な科目としては以下のようなものがあります。
座学(講義)
- レクチャー(Lecture):大人数の学生を対象に教授が講義を行う形式。主に基礎知識や理論を学ぶ。
- チュートリアル(Tutorial):少人数のグループに分かれ、講義内容をさらに深く理解するためのディスカッションや課題を行う。ここでは学生同士や講師との双方向のやり取りが重視される。
私の学校はレクチャーはほぼなく、チュートリアルがメインでした。チュートリアルの授業の中で小さいグループを作り、先生に与えられた課題について考えて発表し、その内容をみんなでディスカッションする感じが多かったです。
実技演習(ラボ)
- 看護スキルの基礎(バイタルサイン測定、点滴管理、創傷処置など)
- シミュレーション演習(患者役の人とロールプレイ)
シュミレーションでは実際に臨床で起きそうな設定で、それぞれに役割が与えられていてDrに電話して指示を仰いだり、薬を投与したりしました。終わった後にグループメンバーと担当の先生と振り返り良かったこと、改善点などを話し合ったりしました。
課題について
オーストラリアの看護大学では、課題(アサインメント)が多く、学業の大きな部分を占めています。主な課題の種類は以下の通りです。
- エッセイ:医療倫理や看護理論に関する論文を書く。
- ケーススタディ:患者のケースを分析し、看護計画を立てる。
- リフレクティブジャーナル:実習や授業を振り返り、自分の学びを記録する。
- グループプロジェクト:チームでリサーチを行い、プレゼンテーションをする。
課題の量は多いため、時間管理能力が求められます。上記以外にもオンラインクイズや筆記試験もあり、学期の間は常に課題に追われていました。徐々に課題にも慣れていき1つの課題に係る時間は短くなっていきますが、毎日課題のことを考えなければならないので精神的ストレスがかかります。特に実習期間中は、実習と課題を両立しなければならず、計画的に進めることが重要です。

日本とオーストラリアの実習の違い
看護学生にとって最も重要な学びの場が臨地実習(Clinical Placement)です。日本とオーストラリアではその進め方に大きな違いがあります。
日本の実習スタイル
- 学生1人につき患者1人を担当。
- 担当患者の情報収集、行動計画を作成し、担当の看護師に伝える。
- 患者さんとの関わりを通じて、個別ケアの重要性を学ぶ。
- レポートや記録が多く、時間外にも準備が必要。
オーストラリアの実習スタイル
- 1人ではなく、指導看護師について4人程度の患者を担当。
- チームの一員として動き、看護師の仕事の流れを学ぶ。
- 医師や他職種との連携を体験し、より実践的なスキルを習得。
- 看護記録を実際に記入し、電子カルテの扱い方を学ぶ。
- 日本ほど記録やレポートの負担は少ない。
メリット・デメリット
日本の実習のメリット
- 患者との深い関わりを持てる。
- ケアプランを細かく考える力がつく。
- 看護の理論や病態生理をしっかり学ぶことができる。
日本の実習のデメリット
- 毎日行動計画を考えたり実習に行く前の事前準備など負担が多い。
- 実際の看護業務と異なる部分もあり、働き始めてからギャップが生じる。
- マルチタスクを経験することが少なく、実際に働き始めた時に優先順位を正しく決められない。
オーストラリアの実習のメリット
- チームでの働き方や連携を学べる。
- 実際の業務に近い形で学べる。
- 電子カルテの記載や多職種との連携を経験できる。
オーストラリアの実習のデメリット
- チームワークを重視するため、自分主体の看護計画を作る機会が少ない。
- 一人の患者とじっくり関われない。
- 指導者によって学べる内容が異なる。
働きながら看護大学に通える?
オーストラリアでは、学生でも看護助手(Assistant in Nursing, AIN)やパーソナルケアワーカー(Personal Care Worker, PCW)として働くことが可能です。時給が高いので48時間/2週間の制限があっても生活費は賄えます。
学校の授業は自分で組めるので、週に2回朝から夕方まで授業を入れてる人や、3〜4回に分けて一日に受ける授業の量を減らしている人もいました。自分に生活スタイルに合わせて授業を組んで学業と両立させるこができます。
✅ 働くメリット
- 看護の現場に慣れることができる。
- 実際の患者とのコミュニケーションスキルが向上する。
- 収入を得ながら学ぶことができる。
✅ 大変なこと
- 学業と仕事の両立が必要。
- 実習期間中は仕事をセーブしなければならない。
私はエージェントに登録して派遣のような働き方をしてました。介護施設ではなく病院メインで仕事を取ると、受け持ちが1対1になり、患者さんが寝ている間は特にやることがないので学校の課題をやっていました。夜型で夜勤が得意な人は仕事をしながら課題もできいるので夜勤で働くことをおすすめします!

まとめ
オーストラリアの看護大学は、日本と異なるスタイルで学ぶことができ、特に実習の仕組みが実践的であるのが特徴です。チーム医療を学びながら、働きながら学ぶことも可能であり、日本での経験も活かせる環境が整っています。
これからオーストラリアで看護を学ぼうと考えている方は、しっかりと情報収集をして、自分に合った学び方を見つけてください!
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